高松盆栽の歴史が始まったのは約200年前、江戸時代・文化年間の頃。近くに自生していた木を鉢に植えて販売を始めたことが起こりといわれている。温暖で少雨、夏と冬の温度差が小さく、水はけがよい環境は松の育成に適していた。そこに果樹の育成などで培われた接木や剪定の技が加わり、全国一の産地として成長したのである。水はけのよい土地で育った松は根腐れしにくく、傷まない。今や高松盆栽の評判は海を越えて世界に届き、欧州やアジア各国からバイヤーが訪れている。
高松市の鬼無地区と国分寺地区は、松盆栽における国内最大の生産地。珍しい松の畑が広がっており、全国シェアは約8割を占める。両地区には、約60軒の盆栽家があり、ここで作られる盆栽が「高松盆栽」である。通常、盆栽園では、ある程度成長した松を購入して盆栽として仕立てていく。しかし高松盆栽では、生産地であるがゆえに、生ける芸術・盆栽を苗から育てている。小さな苗の時から人の手が関わっているからだろうか、高松盆栽には美しさの中に不思議な親近感がある。
松の葉のフォルムは、松盆栽の生産シェア8割を誇る高松盆栽のシンボルにふさわしい。力強い筆書きで盆栽の生命力を表す。