ニュートラルな気持ちで「今」盆栽に向き合う中西珍松園なかにしちんしょうえん

JR鬼無駅のほど近く、県道33号線を一歩入ると中西珍松園はあります。
門の奥には石畳の露地と苔の日本庭園が長く続いており、台の上にテンポよく盆栽が飾られていました。

盆栽を見る目はニュートラルでありたい

中西珍松園は明治初期に創業し、中西陽一よういちさんは5代目の園主です。
子どもの頃は3代目祖父の全盛期で、園には10人もの弟子がいました。そのお兄ちゃんたちに遊んでもらいながら盆栽にも触れていましたが、継ぎたいとの意識はあまりなかったと言います。
30年間盆栽と向き合い、今ではすっかり生活の一部として身体に染み込んでいます。
「30年続けると考え方がニュートラルになってきた」と境地を語る中西さん。過去にとらわれず、いつも「今」を生きていきたいと考えています。

ひらめきを実現した日本庭園

香川県にインバウンドの波が来る前の2004年、中西さんはそれまで一般的な棚場だった場所に日本庭園を造りました。
口コミやSNSを見て、日本文化に惹かれた外国人が毎日園を訪れています。シンガポールやバンコクからの愛好家とは家族ぐるみの付き合いへと発展しました。
中西さんの「今」の興味は人。人と出会うことが楽しくて仕方ないと笑顔がこぼれました。

塀の際に立てられた4つの台には風格のある黒松の盆栽が置かれています。
庭木は変えられないけれど、台の盆栽は入れ替えることができます。春には桜がほころび、秋にはもみじが赤く染まり季節を映し出します。
「今の子どもたちは食べものから旬を感じることも少なくなったでしょう。ふとした時に、季節を感じられる心を持ってほしい」と中西さんは願います。

中西さんのひらめきは、本で読んだことや旅行などの経験から生まれるのだそう。
でもひらめきよりも決断できるかどうかが大事だと言います。物事を決断する、それが中西さんの盆栽への向き合い方なのかもしれません。

盆栽の形は選ぶ人となりを表す

寿ことぶき」は黒松の品種で3代目が生み出した品種。葉の長さが短く、普通の黒松より色が濃いことが特徴で、愛好家の方に人気の品種です。
面白いことに、盆栽の形は選ぶ人の人生と重なると中西さんは言います。ここにどんな方が訪れ、どんな形の盆栽が選ばれていくのかが楽しみです。

中西珍松園(なかにしちんしょうえん)

中西珍松園
住所
香川県高松市鬼無町佐藤148
香川県高松市鬼無町佐藤8-2
TEL
087-882-0526

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