従来の品種も変わり種も
接ぎ木で増殖綾松園
素材=苗木を作る盆栽園
県道33号線、国分寺新居交差点より高松方向に2㎞ほど。コンビニエンスストア前の道を山に向かった先に「綾松園」があります。見晴らしのよい山上の園。ここでは、接ぎ木を施し、松柏の苗木を増やしています。
2代目の綾田正人さんはJAの営農指導員を経て、45歳で父親が開園した同園を手伝い始め、13年目になるそうです。
盆栽には分野があり、「綾松園は素材をつくるところ」と正人さんは言います。
「盆栽の最初の段階のところで商っています。苗なので安く購入できますよ」と正人さん。多くの人に変わった品種を知ってもらいたい、まだ名前が付いていないような松も育ててもらいたい、と願います。
初代は「接ぎ木」名人
「接ぎ木の名手と聞きました」と尋ねると「父がね」と笑いつつ、「私はまだまだ見習い。父が接いだ松苗を鉢に植えたり、水やりをしたり。整枝剪定するのが私の役割」と、ビニールハウスに連れて行ってくれました。
そこには82歳になった正さんが黒松の台木に、この園で生まれた「千寿丸」の穂木を接いでいる最中でした。
接ぎ木は毎年4~5千本。正さんは約50年従事しているので「もう、何十万本接いでいるか分からない。頼まれた業者のところにも接ぎに行く。だから、まだまだ父に追いつけないんです」と正人さんは正さんを敬います。
大事な台木は種から育てる
台木と穂木の掃除、穂木を台木に接ぎ合わせポットに入れる、この一連の作業は5人の手を経て続きます。
「接ぎ木のコツは、台木と穂木の形成層をあわせること」と正さん。
黒松の根の際に切り目を入れ、そこに穂木を接ぎます。ハウスの奥には接ぎが完了し、土に植えこまれた松のポットがびっしり。その黒松の根元には接がれた「千寿丸」の葉先が土から顔を出していました。
ビニールハウスの外にも広がる松の畑。正さんが最も大事と語る「台木」になる松たちが種から育てられています。
「千寿丸」は綾松園生まれ
「千寿丸」は、同園の黒松に接いだ「寿」からの突然変異です。一枝だけ芽の数が多い「八ツ房」が生まれました。この黒松寿八ツ房は「千寿丸」と命名。
その親木から名人の手で次々と「千寿丸の苗木」が育っています。現在また、その原木に新たな突然変異の枝が伸びています。新種松の増殖が楽しみです。
綾松園(りょうしょうえん)
- 住所
- 香川県高松市国分寺町新居2804
- TEL
- 087-874-0316