語学力を駆使し五葉松の輸出にも注力山松園
海外にもダイレクトに盆栽の魅力を伝えたい
JR端岡駅から県道33号線を鬼無方面に徒歩で10分ほど。うどん店の真向かいに「山松園」があります。
園内の棚場には、根張りの立派な黒松、幹肌が大きく割れた錦松、優美さも漂う根上がり五葉松など松柏類が整然と並び、開花時期が楽しみなサツキや雑木も見られます。作業場内には盆栽を撮影するスペースも設けられていました。
今や盆栽愛好家は世界に広がり、「BONSAI」は世界共通語です。「英語は文化の扉」と話す2代目園主・山地宏美さんは、外国語大学出身で語学堪能。早くからネット販売に着手し、自園ホームページは日本語に加え、自身で書き起こした英語・フランス語の解説も添えています。海外からの問合せにも語学力を生かし、メールや電話で応えます。
EUではマツ類の輸入が禁止されていますが、五葉松の盆栽は例外です。同園では、五葉松の穂を若い黒松の台木に接いで増やし、苗木を5年、10年…と時間をかけて成木に仕上げ、欧米へ輸出しています。
盆栽は身近に置き、愛でることに価値あり
「盆栽は日本の伝統文化であり、息の長い生きた芸術品。でも10日水を欠くと枯れてしまう。常に身近に置き、生活の一部にして愛好することに価値がある」と宏美さんは鉢を手に取り、目を細めます。
開園と盆栽の産地への背景
「山松園」は、宏美さんの父・秀男さんが1960年に開園。1974年、宏美さんは大学卒業後すぐに園の仕事を手伝い始めました。ちょうど日本は高度成長期。地元国分寺発祥の錦松をベースにした盆栽は全国各地で売れ、「盆栽農家」として自立できる時代背景があったと言います。宏美さんと同世代の仲間も盆栽育成に力を入れ、技術やデザインを互いに学び、得意分野を磨き、同業者同士で売買やお客様を紹介し合うなど、産地振興の姿勢が培われてきたそうです。
内包する景色と時間を楽しむ盆栽の世界観
「愛好家は盆栽の中に“景色を創出する”」と宏美さん。「樹心」を育てるためにも自ら木を鉢に植え、水を与え、育成を経験することをすすめています。「当園は大衆品を多く揃えているので、お求めやすいと思いますよ」。自然の美しい景色を目の前の盆栽に重ね合わせて、生命を尊び、時間の凝縮を見いだすのが、盆栽を楽しむ感性なのでしょう。
山松園(さんしょうえん)
- 住所
- 香川県高松市国分寺町3425-1
- TEL
- 087-874-1378
- sanshoen@lime.ocn.ne.jp
- URL
- https://sanshoen-bonsai.jimdo.com/