幅広い層に盆栽の
魅力を伝える発信地
高松盆栽の郷
初心者から愛好家までが訪れる高松盆栽の郷
高松盆栽の郷は、香川県高松市の盆栽エリアの拠点として2020年4月にオープンしました。盆栽の見学や体験が気軽に楽しめると、初心者や観光客が訪れます。およそ50軒の盆栽園が出展しており、10,000点以上の松柏類や雑木が集まる充実ぶりに、愛好家にも注目されるスポットです。盆栽の数の多さもさることながら種類の豊富さも特徴。松柏類は黒松、五葉松、錦松、 真柏が揃い、雑木や山野草は季節ごとに生産者が入れ替えを行います。
盆栽の管理を担当するのは橋本佑介さん。橋本さんは国分寺にある開耶香房の園主でもあります。高松盆栽の郷がスタートするときに盆栽の選び方や育て方を伝えることができる専門家として抜擢されました。
盆栽の見どころは幹にあり
盆栽の見方を尋ねると、幹を鑑賞するとよいと橋本さんは教えてくれました。
能舞台の背景に描かれる、盆栽で一番ポピュラーな樹形の「模様木」。土から出た根を幹として鑑賞する「根上がり」、真っ直ぐにのびる「直幹」、根元から2つに分かれる「双幹」、斜めに伸びる「斜幹」、鉢より下に幹が伸びる「懸崖」、石の間から幹が伸びる「石付」、風にたなびくような「吹き流し」、幹が細く上部にのみ枝葉がある「文人木」など。1本の木に3、4つの見どころがある盆栽もあるのだそう。
高松盆栽の郷にある盆栽はどれもが完成した木でもあり、これから作り込む素材の木でもあると橋本さんは言います。今の樹形を保ちながら育てたい初心者には黒松をすすめたり、花や実、紅葉など季節感を味わいたい方には桜や柿、モミジをすすめたりと、橋本さんはお客様と対話しながら、その人に合った盆栽を紹介しています。
盆栽は自然と人の力が共存するもの
「フラワーアレンジメントが足し算の芸術だとしたら、盆栽は引き算の芸術」と橋本さん。
新芽やのびた枝を選別して減らす「引き算」が盆栽を作る上で重要なのだそう。年月を経たような古さを表現するために針金をかけて枝を下げていきます。
橋本さんが好きな樹形だと見せてくれたのは「文人木」。その昔、文豪が好んだ樹形といわれ、細い幹に樹皮の荒々しさがあり、風格を感じさせます。なかでも赤松の文人木は古さの中にあるやさしい雰囲気が魅力だと言います。
長年盆栽に携わる橋本さんも「一生に一本、自分の好きな木ができるかどうか」だと。その難しさが自然と人の力で作り上げる盆栽の芸術性を高めているのかもしれません。
苔玉づくりや寄植え教室で植物にふれる機会を
橋本さんは土に触る機会が少ない子どもたちに植物に親しんでもらいたいと、いち早く開耶香房で苔玉体験やグリーン・ツーリズム体験に取り組んできました。
高松盆栽の郷でも苔玉づくり体験や寄植え教室を予約制で実施しています。
「盆栽というと少し敷居が高いと感じる若い世代の方も、苔玉や寄植えから植物を育てることを始めてみてほしい」
2020年10月から高松盆栽学校もスタート。小学生から80代まで本格的な盆栽技術を学んでいます。高松盆栽の郷から新たな愛好家や盆栽家が育っているようです。
高松盆栽の郷(たかまつぼんさいのさと)
- 住所
- 香川県高松市国分寺町国分353-1
- TEL
- 087-874-2795