突然変異で生まれた新種を広めたい専松園
3代続く錦松の名園
専松園は祖父・父・橋本正博さんと3代続く、錦松を専門とする盆栽園として知られています。正博さんは高校卒業後の19歳で盆栽の道に進みました。
錦松が好きだった祖父・専次さんは接ぎ木で盆栽を増やしました。戦時中は食糧増産のために農産物を植えるよう指導され、多くの錦松を失ったそうです。専次さんは一部を山の畑に植えて隠して守り抜き、戦後にその錦松を持ち帰り再興しました。その錦松がなければ今はないと正博さんは言います。
現在、正博さんはJA香川県国分寺盆栽センターにも勤務し、会員から預かった3,000鉢の管理や販売もしています。お客様の声を直接聞くことも多くなり、人気の樹種も育てるようになりました。
錦松の見どころ
棚場には祖父・専次さんの樹齢100年の錦松が並びます。
錦松は樹皮が豪快に割れる「荒皮性」と古木感が特徴。上から見ると樹皮がプロペラのように三方向に広がり、どこから見ても樹皮の割れ目が見える「三枚皮」が理想の形なのだそう。樹皮は黒々とし表面にはうっすらと苔が生え、風格をたたえています。
正博さんは幹の一部に「ジン」を施し、新たな見どころを作っています。ジンは樹皮をはがして芯を磨き整えて作ります。枯れたような状態を演出して個性を出す技法です。
突然変異は神様からの授かりもの
明治時代に発見された錦松は現在40種類もの品種があると言われています。新種は、枝の一部に変わった枝葉が突然変異で現れる場合と、種を薬品につけて品種改良を行う方法があります。
専松園で生まれた品種もたくさんあります。
葉が黄色い「黄金」、葉が白くて太い「光洋」、葉の一部に黄色い斑入が現れる「佳弦」。「佳弦」は正博さんの孫の名前から命名しました。
錦松にもブームがあり「旭光」という早く樹皮が割れ、販売までの期間が短い品種にみんなが飛びついた時期もありました。しかし、旭光は虫が入りやすいといううわさが立ち、価格が下がる結果に。専松園は樹皮が堅い「末広」を主力としていたため、錦松を栽培し続けることができました。
「10年、20年後を見据えて、みんながしないことをするのは大きな賭け。しかし、いいものを作れば、いつの時代でも売れる」と正博さん。
突然変異は神様からの授かりもの。これからも世界に広めていきたいと意欲的です。
専松園(せんしょうえん)
- 住所
- 香川県高松市国分寺町新居3047-1
- TEL
- 087-874-9418